人材が定着する「指示出し」とは

人材が定着しない職場にありがちなのが、

「受け手が動き辛い指示をしている」

というケースです。

適切に仕事を振ってくれない職場に、
長く勤めたい、なんて思えませんよね。

結果、人材の定着率が下がってしまいます。

それでは、

「動きやすい指示」

とはどういったものなのでしょうか。

指示の要素として以下の3つに着目して
お話を進めますので、
頭の片隅に入れておいてくださいね。

・What(何を)
・Way(どうやって)
・Reason(理由)

それでは、
具体的に見ていきましょう。

================================
何もできない相手への対処
================================

相手に十分な経験やスキルがあれば、
指示はそう難しいことではありません。

難しいのは、
相手が「何もできない」ケースです。

そんなの、
新人の受け入れの時くらいでしょ?
簡単じゃん!

そうお考えの方がいらっしゃったら、
少々ツメが甘いかもしれません。

例えば、
下記のようなケースはどうでしょう。

・性質が全く異なる部署への配置転換
・昇進してプレイヤーからマネージャーへ
・初めて部下を持ち育成を任された

いずれも、
「新しいポジションで求められること」
は何もできない状態です。

こうした環境にある人材に力を発揮してもらい、
長く働いてもらう、

つまり定着化をはかるには、
どうすれば良いのでしょうか。

================================
曖昧な指示で定着化が遠ざかる
================================

ベテランになると、
考えるまでもなく無意識に判断する、

という事が増えてきますよね。

例えば下記の例、
あなたはどう思われますか?

初めて洋食のテーブルセッティングをする、
という部下がいるとします。

<上司>「お皿の左右にナイフ等を並べてね」
<部下>「どうすれば良いのでしょうか…」
<上司>「バランス良く配置すれば良いよ」

一見「どうすれば良いか」
という部下の疑問に対して、
アドバイスをしているように見えます。

ですが実際は、
「Way(どうやって)」を示しているようで、
「What(何を)」を重ねているだけなのです。

これでは、
何のノウハウも持たない受け手は動けません。

確かに誰しも一度くらいは、
綺麗にセットされた
ディナーテーブルを見たことがあるでしょう。

ナイフやフォークを使う順番も、
社会人であればマナーとして
心得ている人の方が多いかもしれません。

ですが「適切な指示」が上司の仕事であり、
「考えればわかる」は通らないのです。

例えば上記の例であれば、
「お皿の左右からこぶし一つ分くらい
 はなれた所に配置するとバランスが良いよ」

など「具体的に」伝えることができれば、
本物の「Way」と言えるでしょう。

動き辛い指示が続くと
部下はこんな風に考えるようになってしまいます。

「いつも上手く動けない」

「自分にはこの仕事が向いていないのかも」

「もっと気持ちよく働ける仕事に変えようかな」

こうしてやる気を失わせてしまったり
定着からほど遠い気持ちにさせてしまうので、
指示出しの際には注意を払う必要があるのです。

指示する側のキャリアがあれば、
幾つもの「Way」を思いつくだけに、
意識していなければ気づき辛い点と言えます。

================================
「自分で決めた」と思わせる
================================

人間の行動特性として、
「自分で決めたことに価値を感じる」
というものがあります。

販売員が使う心理テクニックとして
ご存じの方も多いのではないでしょうか。

店員から
「これが絶対にお勧めですよ!」
と言われるよりは、

「AとBどちらがお好きでしょうか」
と買い手に選ばせたほうが
購買意欲が高まる、というものですね。

働く人の心理としても同じことが言えます。

同じ「指示」を受けるにしても、

「言われてやらされている」

と思って作業をするのと、

「指示のうち自分で決めたものをやっている」

と能動的に取り組むのでは、
仕事に対する価値が全く異なるものになるのです。

「自分は価値のある仕事をしているんだ」
という気持ちは職場への満足感を高め、
ここで長く働きたい、という思いへつながります。

全ての指示で実行するのは難しいかもしれませんが、
可能な限り「指示に幅を持たせる」
ことを意識してみてはいかがでしょうか。

「どちらの方法がより適切かな?」
「やるとしたらどっちが自分に向いてる?」

など大まかな選択でも、
受け手が答えを出す時に「自分で決めた」
と感じることができればOKです。

================================
満足感が高ければ定着する
================================

「素直に聞ける指示がもらえるな」

「アドバイスで成長できている気がする」

このように感じる会社でなら、
「長く働ける」と思ってもらえますよね。

つまり、
人材が定着する指示というのは、

・やる気を失わない

・成長の実感を持てる

ものである必要があるのです。

加えて、

「やらされてる感がない」

「自分で決めて動けている」

という選択の満足感があれば、
「この会社で成長していきたい」
とさえ思ってもらえることでしょう。

貢献度の高い社員の定着は、
事業の発展にとって大きな力になります。

是非「指示」について、
改めて向き合ってみてくださいね。

===============================

いかがでしょうか。

気持ちよく働くのは大事だけど、
あまりにも「丁寧な指示」をすると
自分で考える力が育たないのでは?

そう心配されている方も
いらっしゃるかもしれません。

この点で重要になってくるのが
「Reason(理由)」です。

別の言い方をすれば、
「何のためにその作業をやるのか」
を理解してもらうということです。